つぶれろ常谷 シナリオ版
2018年作
つぶれろ常谷 シナリオ版
つぶれろ常谷 シナリオ版
登場人物
大城愛理(おおしろえり):30歳女性、主人公
常谷健司(じょうたにけんじ)46歳 パワハラ上司
大室靖彦(おおむろやすひこ)45歳 パワハラ上司の同僚
武田孝典(たけだたかのり)42歳 愛理の会社の営業
小松恵子(こまつけいこ)46歳 一番上の会社のリーダー
野田増美(のだますみ)33歳 2番目の会社のリーダー
谷口由美(たにぐちゆみ)35歳 西映株式会社スタッフ
成城真木子(せいじょうまきこ)51歳 西映株式会社プロデューサー
SCENE 1 小会議室 愛理と大室は部屋に入る
大室:おかけください。
愛理は会議室の椅子に座る。大室もゆっくり座る
大室:お話というのは何ですか。
愛理:私、ここ辞めたいと思いまして。
大室:ああ、そうなんですね。何か理由でもあるんですか
愛理:常谷のパワハラに耐えられません。
大室:ああ、やっぱり彼か。
愛理:あの人どうにかなりませんか。
大室:まだ、あの人そういうことやっているんだね。もういろんな人が彼に注意しているんだけど彼も懲りないなあ
愛理:気がおかしくなってしまいそうです。
大室:もう辞めると決めているんですか
愛理:もう関わるのはイヤです。
大室:わかった。君を尊重しよう。
愛理:いつ辞められますか。
大室:君の意見を尊重するようにするが、すぐには辞められない。そこは理解して。
愛理:わかっています。でもその上でどのくらいいなければなりませんか
大室:1カ月はいなけなければならない。
愛理:1カ月か。うちの営業には すぐに辞めることを会社を通していってくれますか
大室:早急に対応する。君の意向に沿うようにはするがあと1カ月は普通に働いてできるだけ欠勤しないようお願いしたい
愛理:わかりました。
大室:あと、あなたがやることは、現行の運用保守と、アカウント削除申請 、退任処理ですね。アカウント削除申請は常谷が担当なので彼に従ってください。
愛理:え?まだ、常谷とかかわらなければならないんですか?どうにかなりませんか
大室:アカウントの管理は彼が取りまとめているので、仕方ないですね。 1カ月の辛抱なので、なんとか取り繕ってください。
愛理:何故、常谷にそういう業務をやらせているか疑問です。
大室:仕方ないですね。では、あともう少しだけ頑張ってください。
愛理:はい。
SCENE 2 休憩室(夕方)
愛理は自動販売機のボタンを押して、お茶のペットボトルを取り出す。 休憩所の椅子に座る。愛理はスマートフォンが鳴っているのに気づき 電話に出る。
武田:武田です
愛理:お疲れ様です。
武田:なんだって?自分から辞めるとかいったの?
愛理:すみません、言いました。常谷に耐えられない
武田:どこにいったって、いるよ、そういう人は。そういうのに いちいち逃げていたら、仕事なくなりますよ。
愛理:わかっていますが、常谷は少しレベルが違います。
武田:おかしい人は確かにいるとは思いますよ。常谷さんだって 鍛えてあげようと思っているだけじゃないですか?
愛理:それはないと思います。
武田:いじめられているって思い込んでいるだけじゃないんですか
愛理:いじめられているとは思いませんが、仕事の妨害をしてきます。
武田:もう営業に辞めることがまわっちゃったから、仕方ありませんが 今後は私に云った上でよく考えてからにしてください。
愛理:わかりました
武田:今回だけですよ。関係している営業に謝っておくので。
愛理:すみません
武田:それから、営業活動をこれから行いますが、決まるまで 1カ月以上かかるかもしれませんが、それは覚悟してくださいね
愛理:了解いたしました。
愛理はスマートフォンを切る
愛理:私だって辞めるのやだよ。あんな奴の為に。それとこの武田もあまりわかってくれない。・・あれ通るといいな。ん?
愛理のスマートフォンがなる
愛理:はい。
谷口:西映像株式会社ですが、大城さんの携帯で宜しいですか
愛理:はい。そうですが。
谷口:あなたが少し前にお出しした、「つぶれろ常谷」の脚本ですが、うちの成城プロデューサーが興味持ちましてね。 少し、お話をお伺いしたく・・
愛理:ほんとですか?せひっ、ぜひっ
谷口:ご都合はいかがですか?
愛理:今日の夜とかでもぜひっ、あ、そちらのご都合は?
谷口:あ、今日の夜とかでも宜しいですか少々お待ちください。あ、今日でしたら19時半に六本木付近大丈夫ですか?
愛理:19時半大丈夫です!
谷口:では詳細は大城さんのメールアドレスにお送りしますね。
愛理:宜しくお願いします!
谷口:では失礼いたします。
愛理は電話を切る
愛理:よっしゃー!1つ光が見えた!
愛理は休憩室から去り、自席に戻る。常谷が愛理の自席の前をうろうろする
常谷:大城君。私の出したメールは見ていますか
常谷は無表情で無機質に小さな声で話す。
常谷:私の出したメールです。
愛理:メールですか
常谷:また無視ですか。答えはメールをみたか、みていないかなんですが。
愛理:見ていません。
常谷:最初からそういってください。メール見てください。
愛理は自席のパソコンで常谷からのメールを見る
常谷:あなたのIDの削除申請についてのメールです。資料は書いてあるアドレス を見てやってください。締切は今週の木曜日です。
愛理:木曜日ですね。わかりました。
常谷:いつまでにできますか?
愛理:木曜日ではないですか
常谷:それは締切の日です。どうせ君のことだ。適当に仕事やって、間違ってやりなおしなんてことがあるだろう。私がチェックをしなければならん。 やりたくもない無駄な仕事だが。で、いつまでにできるんですか 私が木曜日、午後、別のビル行くの知っていますよね。 ちゃんと見てますよねえ。見てもいないんですか。まあみてないんでしょうね。
愛理:では水曜日に仕上げます。
常谷:常識のある日本人であれば、ちゃんと仕事を見積もることをしますが、 あなたはそんなこともしないんですねえ。またどうせ適当に木曜じゃないなら 水曜日とかいっていませんか。常識なさすぎはしませんかね。
愛理:すみません。
常谷:そんな答えは聞いていません。1つの申請書を出すのに何分かかりますか。 ここに入るときにやった時と同じようなWEB申請です。私なら1つの申請 4,5分で終わりますが?
愛理:はい、4,5分で終わります。
常谷:アカウントは80ぐらいあります。どのくらいで終わりますか。 小学生ですかあなたは
愛理:7時間から8時間です。
常谷:火曜日中ですね。いいですか。ちゃんとした大人はこうやって時間の見積もりをしてから答えるものです。あいかわらず常識がありませんね。
愛理:火曜日中、わかりました。
常谷:それから水曜日、会議室を予約しておくように
愛理:会議室ですか
常谷:常識です。それともなんですか、この私があなたの席の前にずっと立って チェックしろとでもいうのですか
愛理:会議室予約します。
常谷:会議室の予約なんて常識です。ほんとにダメな人ですね、あなたは
愛理:・・・・
常谷:また無視ですか。なんなんだよ、こいつはよ
愛理:すみません。会議室用意して、あとで部屋の番号を連携します。
常谷:当然です。ぱっぱ、ぱっぱ、お話してくれませんかねえ。 また無駄な時間を過ごしてしまった。
常谷は無機質な顔のまま、常谷の自席に戻る 。愛理は休憩室へいく。スマートフォンが振動する。愛理は答える
武田:武田です。・・今、大丈夫?
愛理:大丈夫です。
武田:まだ時期早いんだけど案件がきててね これねー明日の午後面談なんだよねー行ける? 運用だから確度高いと思うんだよね。
愛理:明日の午後ですか。業後とかでなく。
武田:これねーいける気がするんだよね。明日の午後、半休とれるか 訊いてみてくれる?
愛理:わかりました。訊いてみます。
武田:大丈夫そうだったら、できれば、帰る前までに、折り返し電話もらえる?
愛理:了解しました。訊いてみます。
武田:宜しくお願いします。
愛理は電話を切る
愛理:面談か。
愛理は部屋に戻り、チームリーダのところへ行く。
愛理:小松さんすみません。
小松:はい、なんでしょう。
愛理:明日、急に社用で午後休を、とらせていただきたいのですが可能でしょうか
小松:明日・・もう大城さん重要な案件抱えてないよね?!大丈夫じゃないですか
愛理:ありがとうございます。
愛理:えと、あと。野田さんか
愛理は野田の席のところへ行く。
愛理:すみません、野田さん。明日、午後、社用があり午後休とさせていただきたいのですが
野田:面談ですね?!いいですよ。
愛理:ありがとうございます。
野田:でも1ついいですか?
愛理:はい。
野田:今後もこういうことがあると思いますが、そこらへんは大丈夫ですか。 今後は調整してもらって、業後に面談するようにしてください。
愛理:わかりました。
愛理は常谷を見る。
愛理:いっか。大室さんで
愛理は大室さんのところいく
愛理:すみません、明日、午後、社用で午後休とさせていただきたく。
大室:ああ、わかりましたよ
愛理:ありがとうございます。
愛理は走って部屋を出て、休憩室に向かい、武田に電話をする。
武田:はい、武田です。
愛理:3社とも許可でました。ただ、今後は業後にとかチクリと言われましたが
武田:許可でましたか。では、面談依頼をすすめますね。 進捗がわかり次第メールを出すのでみてください。
愛理:宜しくお願いします
愛理は部屋に戻り自席に座る。
愛理:あっそうか、午後休暇申請と、会議室とらなきゃ。 あ、しまった。削除申請。今、15時だから、今日、4時間 明日3時間やればなんとか終わるか。忙しいけど仕方ない。急がないと!
愛理はパソコンいじる。
SCENE3 映像会社
谷口:お待ちしておりました。
愛理:こちらこそ待望しておりました。
成城:待望!なかなか面白い子だわね。
愛理:あははは、すみません、大城愛理といいます。
成城:プロデューサーの成城です。早速ですが、「つぶれろ常谷」読みましたよ。ひどいですね。
愛理:え?脚本だめだったですか?
成城:いえいえ。内容が、あれだけひどい人いるの?みたいな。実話ですか?
愛理:実話です。今日もバトルしてきました。
成城:実話とは思えないくらいひどい。キャラ。実話なんですね。どんな感じでしゃべるんですか
愛理:(ものまね)不備があるに対してすみませんの返答はないと思いますが、日本人ですか、あなた?
成城:がははは。面白い!日本人ですか?ときましたか。
愛理:ほんとの話だから、そんなに笑えなくて。ふふっ
成城:脚本的にいうと、今までこういう脚本は受け入れないところが多い。
愛理:そうなんですね
成城:逆に言うと、パワハラもエンタメ系のパワハラが多く、こういうのはなかったので、逆に斬新ではある。 作品化しますか?
愛理:そんなことできるんですか?
成城:あたしもリアルなパワハラにあったことがあってね。ここじゃないけど。共感しちゃったりしたんだよね。
愛理:ぜひ、作品化したい
成城:じゃぜひいけるとこまで頑張ってみましょう。あなたは今、直近で困っていることは?
愛理:私今、IT業界にいるんですが、こういう奴もいたり仕事的にも好きでないので、あわよくば映像関係に転職したい
成城:あら、そうなのね。今、募集中なのよね。ここ。撮影補助や現場雑務ですが。一応、応募してみる? そしてたまに、脚本もやるみたいな感じで。
愛理:願ったり叶ったり!やってみたいです。
成城:では一応、書類も欲しいから、書いて送ってくれる?また連絡するわ。
愛理:ぜひ!ぜひ、宜しくお願いします。
成城:今日、時間ないので、ごめんなさいね。どんな子か知りたかったの。
愛理:ぜひ、宜しくお願いします!
愛理は席を立ち部屋を出る
SCENE 4 大会議室
チームメンバーは椅子に座っている。愛理は端っこの椅子に座っている
小松:おはようございます。時間になりましたので朝ハドルはじめます。勤怠の確認は大丈夫ですね。今日はここにいるのは、常谷さんと大城さんのみですね 。それでは、アラート、ジョブの対応等あった方・・・なし。 この頃落ち着いていますね。 それでは本日の予定をお願いします。
常谷:今日はチームミーティングの用意をします。あと、アカウント申請が 間違ったものがきているのでそれの対応をします。以上です。
愛理:大城です。ID削除申請を続けて参ります。それから昨日、通知しました通り 本日、社用にて、午後半休とさせていただきます。お忙しいところ申し訳ございません。 以上です。
小松:では私の方から、最近体調を崩されて休む方多いですので、体調には十分 気をつけてください。以上で朝ハドルを終わります。本日も1日宜しくお願いします。
愛理がゆっくりと立ち上がり、会議室をでる。常谷は愛理を睨みつけている。 愛理は休憩室に行き、自販機でエナジードリンクを買って飲む。 常谷が休憩室に現れる。
常谷:おい!
愛理:はい?
常谷:はい?だと?貴様なめてんのか。こらあ。
愛理:なめてはいません。
常谷:おい!おい!今日は許さねえからな。おい!座れ、ここ!
愛理:はい。
常谷:俺は聞いてねえぞ!お前の半休。
愛理:はい、昨日、報告時にいらっしゃらなかったので
常谷:はあ?なめてんのかてめえ。私は昨日、いましたけど! 報告時にいなかったから報告しないってどういうおつもりなのか 私が納得できるように説明しろよ。でめえ。
愛理:メールでも通知したのでいいかと思いました。
常谷:お前は大事なことを通知するときにメール1本ですますといっているんですか 野田にもいってないのか
愛理:野田さんには言いました。
常谷:俺には云わないってのか。バカにするにもほどがあるぞ。くそがあ。
愛理:すみません。大室さんにはいいました。
常谷:大室は別のチームだろうが、くそがあ。どこまでくそなんだこいつは !商流って言葉知っているか!
愛理:知っています。
常谷:本流の会社があって、野田さんの会社があって、私の会社があって、そしておまえだろうが!てめえのやったことは、俺の会社を飛び越えて、野田さんの会社に報告 あなた自分が何やったかわかっているんですか?うちの会社、舐めているんじゃないですか お前はどっからお金もらっていると思っている?
愛理:すみません。
常谷:はあ?日本語しゃべってくれませんかねえ!私の質問に対して、すみませんという 回答なんてあるんですかね?!ふざけるにもほどほどにしてくれませんかねえ!
愛理:申し訳ありません
常谷:いくらいっても改善しない。改善する気もないんですね。それで、改善策の答えまだ いただいていませんけど、どういうつもりなんですかね。 あなたの会社にいいましょうか。こんなクズ押し付けてきて
愛理は時計見る。
愛理:削除申請がおわらなくなってしまうので。
常谷:お前、ここの仕事満足に終わらせることできないのに、それで午後面接なんていけますかねえ あまりにも無責任すぎませんか。もう、ここの仕事なんてどうでもいいと思っているんだろ?
愛理:思っていません。
常谷:言いましたね。思っていませんといいましたね。ならば、時間関係なく、仕事終わらしてください。 あんたの面談なんてはっきりいってどうでもいいですからね。こっちは。
愛理:いや、今日は面談行かなければなりません。
常谷:どういうつもりなんですかねえ。無駄な時間とらせやがって。ろくに仕事もしない奴が。 私が納得いくようにきちんと説明してくれませんかね
愛理:午前中に終わらせます。
常谷:何度も!何度も!何度も!会話になりませんねえ。そんな回答ってありますかね。 私は説明してくれといっているんですけどね。ああー無駄。もういいです。
常谷は立ち上がり、休憩所から立ち去る。愛理は溜息をついて、立ち上がる。
愛理:急がないと!削除申請が終わらない。面接が行けなくなる!
SCENE 5 面接の帰り道
愛理:やっと終わった。削除申請と面接なんとか乗り切った。早くこの生活を変えたい。いや、成城さん頼むよ!
愛理はスマートフォンを持つ。
武田:武田です。
愛理:お疲れ様です。
武田:どうでした?面接?
愛理:なんか、決まりと面接の方いっていたけど、決まりですかね。
武田:先ほど、連絡きましてねーほぼほぼOKです。よかったですね。
愛理:ありがとうございます。
武田:ほぼほぼOKだけど、予定通り、夜の面談も受けてもらえる? 最後まで気を抜かずにいきましょう。
愛理:そうですね。
武田:でもよかったですね。この調子で、もう少し頑張りましょう。
愛理:ありがとうございます。
愛理は電話を切る。
愛理:内定でちゃったか、成城さんのとこ行きたいのに。まあ、いいや。成城さん決まったら、他全部断ろう。
SCENE 6 休憩室
愛理は自動販売機でエナジードリンクを買って、飲む。休憩室の椅子に座る。
愛理のスマートフォンが振動しているのに気づき出る
武田:武田です
愛理:お疲れ様です。
武田:昨日の夜に電話したとおり、昨日の面談は確実にOKになりました
愛理:はい、ありがとうございます。
武田:それで、昨日の夜話した通り、新しい案件の場所で、セキュリティ研修が あるといった件ですが。
愛理:はい。あるとおっしゃってましたね。
武田:お客さんの都合で、急で悪いんだけど、今日、業後、19時にあるんだけど 今日大丈夫ですか
愛理:今日ですか?
武田:そう、急で悪いんだけど、定時にそちら出たら間に合う時間だと思っているんだけど 都合はどうですか
愛理:今日ですか。ちょっと心配ですね
武田:何かありましたか。
愛理:常谷が定時にあがらせてくれない可能性があります。
武田:ほーーーお?セキュリティ研修があると言えば、大丈夫でしょ。
愛理:・・・はい
武田:詳細の地図とかはこの電話のあとすぐに送っておくので、確認しておいてください。
愛理:わかりました。
武田:急な話で申し訳ないですね。セキュリティ研修の方宜しくお願いします。
愛理:了解しました。頑張ってみます。
武田:それでは宜しくお願いします。セキュリティ研修終わったら連絡いただけますか
愛理:わかりました
武田:それでは宜しくお願いします
愛理:宜しくお願いします。
愛理は電話を切る。スマートフォンの時刻は15:50が表示されている
愛理:今日か。頑張るしかないか。急がなきゃ。
愛理は急いで飲んで部屋に戻って、パソコンをもって小会議室に移動する
SCENE 7 小会議室
愛理は時計を見る。16:09になっている。常谷はまだいない。
愛理:時間がない。呼びにいこう。
愛理は移動して常谷の席へ行く。
愛理:今日、4時から私のID削除確認・・
常谷:別の仕事が入りました!
愛理:今日は中止でしょうか
常谷:終わったらいく!うるせえ奴だなあ。ほんとー
愛理は時計をみて、小会議室に戻る。16:18分、ぶ然とした顔で常谷が入室する
常谷:ああ、無駄な仕事だほんとに!
常谷は粗く座る。
常谷:早く、モニター。明るすぎてみえないんですけど!バカにしているのか
愛理は部屋の電気を消して、スライドを映す
常谷:小さすぎて読めないんですけど!拡大とか何も言われなくてもしてくれませんかねえ ホント、おかしいなこいつ。
愛理はあせって、拡大しようとするがなかなかうまくいかない。
常谷:あーいらいらする!画面をクリックして。早く!早く!おらあ! あ?!
常谷は立ち上がり、スライドの前に立つ
常谷:私は、画面といったんです。これ画面ですか?これ画面ですか?
愛理:え?
常谷:また無視かよ。もう帰るぞ。俺!
愛理:すみません。
常谷:お前のクリックしたところ、タブじゃないかよ。画面だろ。画面おらあー
愛理:すみません。
常谷:早く、コントロールおしながら、マウス動かす!おらあー早くやれよこのやろお!
愛理は画面を拡大する
愛理:できました
常谷:ああ?
愛理:できました。
常谷:よかったですね!
愛理:宜しくお願いします。
常谷:帰るぞ。おらあ!教えてもらったら、教えてくれてありがとうございますじゃねーのか。おらあ
愛理:教えてくださいましてありがとうございます。
常谷:感謝の気持ちがないから、そういう言葉がでてこないんじゃないですか?ああ!
愛理:教えてくださいましてありがとうございます。
常谷:こちらから指摘してからそういう言葉もらっても 嫌味しかきこえないんですけど
愛理:申し訳ございません
常谷:日本語話してもらえませんかね!嫌味しか聞こえないんですけど!の返答に申し訳ございませんの 返答はありえないんですけどね
愛理:申し訳ございません。用意ができました。
愛理の携帯がなる
愛理:ちょっとすみません。大事な電話なんで、少し失礼します。
常谷:ああ!? ふざけるな!こっちより、電話のほうが大事だと?
常谷は外に出る。愛理は電話に出る。
成城:大城さんの携帯ですか?
愛理:はい、そうです。
成城:よかったわ。あなたに決めた。あなた内定よ。
愛理:あ!ありがとうございます!。
成城:今の職場はいつまでいるの?
愛理:今月末までです!
成城:じゃあ、来月から宜しくね。常谷はどうしてる?
愛理:今、戦争中です。
成城:あれってどこかに公開中なの?
愛理:こっそり自分のページで公開中です。
成城:1日だけツイッターで拡散しちゃえば?
愛理:ああ、そうしちゃいたいくらい!
成城:冗談だけどね。じゃあ、来月から宜しくね。
愛理:宜しくお願いします!
成城:今後のことは谷口さんがサポートするので従ってください
愛理:はい
成城:負けんなよ。
愛理:もち。すみません。もちなんか。
成城:がはは。じゃあね
愛理は電話を切る。常谷を探す。自席にいるのをみつかる
愛理:すみません。電話終わりました。
常谷:よかったですね!
愛理:宜しくお願いします。
常谷:何を?主語がないんだ。お前は!
愛理:ふっ。
常谷:なんだこいつ!笑いやがったぞ。もうしらねー。1人でやればいいじゃないですか。
愛理:小松さんにいいます。
常谷:なんだとーこらあ。
愛理:とりあえず、あの部屋で一人でがんばりますので。
常谷:勝手にやってろ!
SCENE 8 自席
時計は19:20を指している。愛理は帰る支度をしている。 常谷が近づく。
常谷:まだ、個人IDの方しか終わってないので、今すぐ会議室とってください。 なんで、16:00とかにとったんですかね?自分のレベルわかってないんじゃないですかね
愛理:会議室が開いてなかったので
常谷:次回は14時とか15時とかにしてください。とれなかったら、18時に 帰ることなんてできないですからね。覚悟してください。
愛理:ふっ、
常谷:ちっ、今日間に合いますよね
愛理:もう始まってます。
常谷:知りませんよ。私は。では私は帰りますので。
愛理:どうぞー
常谷:なんだ、こいつは!もう、二度と見てやらねえからな!
常谷が去る。愛理は電話する。
武田:はい。武田です。
愛理:大城です。今、仕事終わりました。すみませんが、先ほどメールしたとおり、今日は講習間に合いませんでした。
武田:なぜなんですかね
愛理:常谷が帰らせてくれませんでした。それと、すみません、映像系の会社からスカウトいただいて、 私、武田さんの会社辞めて、そちらにいこうと想います。
武田:え?あっ?何?内定でているんですよ。次の会社。
愛理:はい。申し訳ないですが、断っていただいて宜しいですか。
武田:困りますよ、それは。
愛理:私急いでいるのでこれで。
武田:あ、ちょっと!あとで、私と面談!
愛理は電話をきる。
愛理:ふう、やっと次のステージにいける。
ENDING 事務所
大室:ちょちょちょ、大城さん、こっちへ
愛理:はい?
大室:常谷が君のページを見つけてしまってね。これはセキュリティ事故だぞ。常谷の名前も出てしまっているし。
愛理:あ、そうなんですか?
大室:あの、ページ削除してもらえないかな。出してると、君が不利になるよ。
愛理:あ、そうなんですね。考えときます。
<大城と成城が握手している絵>