須磨海岸(短編小説:BON)

短編小説

須磨海岸(短編小説:BON)

須磨海岸

道彦:やっぱりここにいたんだね。

光里:あなたさっきからいたでしょ。

道彦:あっ、気付いてたのか。

光里:そんな大きな図体がうろうろしてたら嫌でも気付くわよ

道彦:いや、邪魔しちゃ悪いかなと想って。。

光里:ふふっ、さっきからずっと邪魔よ。でも大丈夫、海は応えてくれた

道彦:気付いているなら声かければよかったな

光里:まあでももう1時間は海と会話してたから、大丈夫よ。

道彦:海はなんて云ってた?

光里:内緒。

道彦:まあそう云わずに、食うか?

光里:なにそれ?チョコレート?ゴディバ?似合わないね

道彦:まあ、そういうなよ。今日は2月14日だろ。バレンタインチョコだよ

光里:あんたこの後に及んで求愛とかするつもり?

道彦:そんなんじゃないさ。それに昔は女性があげるものだったけど、今の俺にとっては挨拶がわりさ

光里:じゃあ、もらうわ。

道彦:昔からそうだったね。苦しいことあるとここへきて、海を眺めて。

光里:悪い?

道彦:いや、その習慣、俺にも感染しちゃってね

光里:ウイルスみたいに云わないで

道彦:海は何て云ってた。

光里:チョコくれたから、云ってもいいかな。海って変わらないよね。あたしも変わってない。 変わらなくていいといってくれた

道彦:いいね。それがいいよ。海っていろんな表情みせてくれるから、海との会話楽しいよね。

光里:へえーあんたもそうなんだ。

道彦:海の場所によってもいろいろ表情が違う。千葉の房総もよかったけど

光里:あたしはここが好き

道彦:俺も好きだよ。

光里:あたし決めた。今の仕事、気持ち変えずに続けてみようと想う。いろいろ状況は変わっていくけど

道彦:いいね。それがいいよ。

光里:ひろふみくん、成長したね。

道彦:だから俺はみちひこだって。ひろふみくんは3歳の頃の初恋の人だろ?あの人どうしたかな

光里:追わないことにしてるの

道彦:俺はお前を追うよ

光里:だからこのくされ縁で口説いてるつもり?

道彦:なんか、恋愛というよりかは、心のパートナーになりたい。海と三角関係

光里:本気でいってるのか冗談でいってるのか

道彦:俺、お前の仕事のアシストするよ

光里:今の仕事どうすんの?

道彦:今の時代、1つの仕事だけで生きていくのは危険だ。と海が教えてくれた。 だから、空いた時間に光里をサポート

光里:金でないよ?

道彦:光里からもらおうと想ってない。アイデア考えて仕事作るのさ。

光里:あんた面白いよね。

道彦:ビジネスパートナーになろう。

光里:海に訊いてからね。

道彦:ははは。海には勝てないや。

光里:ふふっ。

須磨海岸:作詞・作曲・歌:平松愛理

幼い日思ってた大人に
私はなれているのかな
海に向かって大声で
歌うのが大好きだった

大人になれば強くなる
決まり事のように信じてた
砂を蹴る靴底の感触が 同じで
あの日無かった赤い遊歩道は
まだ歩きたくない

今日も変わらずに ただ寄せては返す波
引き潮に流され遠くなる 
ガラスの瓶は追いかけず
失くすことを恐れず自分の今
繰り返せばそれでいいよと
教えてくれてる気がするよ

上京する前描いてた
夢には近づいてるかな
髪型も着る服もお化粧も 違うけど
あの日と一緒のやりたいことまだある
やっと気づいた

太陽の沈む場所が 西に進むように
大人になる度諦めること
自然に増えていくけれど
叶いたい夢がある限り
私は私でいられるって嬉しくなった
口笛で遊歩道行こう

今日も変わらずに ただ寄せては返す波
引き潮に流され遠くなる 
ガラスの瓶は追いかけず
失くすことを恐れず自分の今
繰り返せばそれでいいよと
教えてくれてる気がするよ


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