親友 平松愛理
2013年作
親友 平松愛理
親友 平松愛理
SCENE 1 品川とあるレストラン前 2002年5月
愛理さん: 今日はあまり無理できないけど、ちょっと楽しみ。
あの待っている女性そうかな。
でも違いますって言われたらこっぱずかしいな。
・・ちょっと電話してみよう
愛理さんは携帯で電話かける
その女性の携帯がなる。
愛理さん: あ、すみません、あかねさ・・んですか?
あかね: えっと、もしかして、えりっぷさん?
愛理さん: あ~~どうも~
あかね: えりっぷさん、かわいい。
愛理さん: え?そうかな?そんなことないよ。
あたしオフ会とかはじめてだから、緊張してて
どんな奴がくるんだろうって思ってて。
あかねさんみたら安心した。
あかね: ああ、たぶん、ペンキじじーのこと?。
愛理さん: あははは。
あかね: 心配ない。今日のオフ会はペンキ以外女性だし、
高校からの同級生、みどりちゃんいるし、
大丈夫、あ、あとBONちゃんもいたな。
あの人も大丈夫、文章のやりとりも普通だし。
なにかあったらあなたを守っちゃるから。
愛理さん: いや~心強いわあ~
あかね: 今日はお食事とカラオケだけど、
愛理さん: あたし、ごめん、声がでないんで、その後、病院もいかなくては
いけないし。
あかね: 大丈夫?無理しなくていいんだよ?
愛理さん: このレストラン、野菜スープとかあるよね。
あかね: 大丈夫、あたしこの店2回目だけど、肉だけとかじゃないから
野菜、玄米仕込スープとかもあるよ
愛理さん: あ~助かる~、あ、なんか向うで手ぶんぶんふってる人いるけど
あかね: あ~ペンキだな。あいつあんま好きじゃないんだよね。
ペンキ: やあやあ、ごめん。
あかね: あんたが一番遅いよ。もうみんな中で待ってるからいくよ。
3人はレストランの中に入る。
愛理さん: はじめまして。
わんた: あなたがえりっぷさんね。
BONさん: BONといいます。僕、えりっぷさんてペンネーム好きですね。
応援している歌手の愛称がえりっぷで。
愛理さん: い。た・・たぶん別人、全然別人。
みどり: みどりです。本名です。表記はmidoriにしてるけど。
あかねさんともう15年以上の付き合い。
ウエイトレスがくる
ペンキ: あ、おれはミックスグリル、ごはんおおもり
わんた: あたしAランチでいいです。
みどり: 女性は・・・Aランチで、
愛理さん: あ、ごめん、あたし、野菜雑炊でお願いします。
雑穀米で。
みどり: ごめんなさい、健康志向なんですね。
愛理さん: ごめん、ちょっと今、あまり調子よくなくて。
みどり: 無理しないでくださいね。
愛理さん: いや~楽しみではあったのよ。家にいるよりかは。
あかね: そもそも愛理さんはこのコミュニティに入ってきたの?
愛理さん: いやあ~私、詞とかポエムとか興味があって、ミルちゃん
というペンネームの詞とか詩を載せているホームページの
ところが好きで、いろいろ書き込みをさせていただいてたの。
あかね: 接点ないじゃん。
愛理さん: ところがね、その掲示板に、いきなり「すかしっぺって許せる?」
みたいな書き込みがあって、なんなんだろうこの人と思って、
で、いってみたら犬が好きな、
あかね: ペンキの毒にやられたのね。
ペンキ: 毒じゃないよ、全然。
愛理さん: あたしはペット飼っていないんだけど、娘がいるので、
家族を思う気持ちはわかるので、この家族を思うような人に
興味もった。
ペンキ: 俺のグリは最高だろう?
愛理さん: や、あの~いろんなページを見させていただいて、わんたさんや
カサッペさんやあかねさんや。
あかね: 少なくてもペンキではないってことだよ
愛理さん: あ~ん~
ペンキ: 目のかたきみたいに。
みどり: ペンキさんさ、こうやって話しているときはふつうなのに、
書き込みになると、攻撃的というか威嚇的だよね。
ペンキ: そうじゃないよ。僕はあの書き込みをみてどう返してくるか
その切り替えしがみたいだけ。
わんた: そういうさ、人をこばかにしたようなさ、だからポンタちゃん
怒っちゃったんじゃない。
ペンキ: あそこは怒こるとこじゃないよ。怒ったほうがまけさ
あかね: あんたの話はいいよ、もう。BONさんはどういうつながりできたの?
ホームページは芸能人応援サイトだし。
BON: 実はぼくもペンキさんの罠にはまったんだよね。
愛理さん: 罠っ。ふふっ
BON: 僕のホームページはまだマイナーで、実はあの頃は、いろんなHP見ては
書き込みしてたんです。バーにいるようなホームページ、きらさんがいて
そこでいろいろ書き込みしてたんだけど、その掲示板の中で
「変人会」入らないみたいなこと書いてあって、きらさんめっちゃ怒って
ペンキ: いたいたキラ、冗談が通じない、「変態は嫌いです」って書いてきてさ
あかね: それが普通の反応だから。わかる?それが普通。
ましてや顔もしらない相手になにやってんだよ。
BON: で、さわぎになって、この人どういう人ってなってみたら、犬の世界だった。
愛理さん: あ~ペンキさんを庇うわけじゃないけど、つまり会うきっかけつくった。
ペンキ: そうなんだよ。わかってるね~。えりっぷさん、変人会入らない?
愛理さん: ・・いや、それはちょっと・・。
あかね: 好かれているわけじゃないの。わかったペンキ。
ペンキ: すみません。
あかね: その謙虚さ、文字でもかけ。小心者だから、文字でしかできないんだろ。
BON: まあまあまあ、きましたよ、メニュー
ウエイトレスが料理を置く。
愛理さん: わんたさんは北海道じゃありませんでした?
わんた: 北海道からはるばるきました。この為に。
愛理さん: えええ~すごい。オフ会に。オフ会怖くないですか?
わんた: 長い間、ネットで会話してるからわかるのよ。会わなくても。
こんな人だって。だから全然平気。
BON: 私はドキドキでした。今日オフ会、初参加。
来月、自分のHPの仲間でオフ会はじめるんだけど、その前にここに
きました。もう、お金とられたらどうしようとか
あかね: 大丈夫だって、BONちゃん。BONちゃんの性格はちゃんと文字にでてるから
きっとお人好しなんだろうなって思ったもん。
愛理さん: お人好し。
あかねさん: だってファンサイトでしょ?自分の為のホームページじゃない。
もうそれだけでわかる。
BON: あははは、どうなんだろうね。
あかねさん: そういえば、平松愛理さん大病したってね。テレビでやってた。
BON: あんときは落ち込みました。みんな帰り、うなだれてた。
あかねさん: でも今度ファンでオフ会やるんでしょ?
BON: こんなときだからこそ、ファンが結束しなきゃってそういう流れになって
でも、まだオフ会怖いや。どんな人くるかドキドキだから
あかねさん: BONちゃん今、ブライトンで働いているんだよね。
そこでやったら?ホテルだしみんな見てるし、安全じゃない?!
BON: ああ、そうしよう。
愛理さん: ・・・・。
ペンキ: 俺もいっていい?
BON: ファンじゃないでしょ?
あかねさん: やめとけば?ぐちゃぐちゃにされるよ。
ペンキ: そんなことはしないよ。
BON: ファンだから楽しめる、場所や食べ物を考えてるんだ。だから無理かもな~
愛理さん: ん?食べ物?
BON: 自然食にこだわって・・・
愛理さん: いいのかあ?こんなような食事だよ。BONちゃんみたいに大きな人じゃ
足らないと思うよ。
BON: 幹事長はそここだわってるんで。
愛理さん: ・・・ふうーん
ペンキ: ああ、くったくった。
みどり: はやすぎ。ペンキ。
ペンキ: いや、俺さ、姉のオイルと待ち合わせしててさ、
わりーけど、もういくわ。
あかね: いいんじゃない?もういけば?うちらもう少しゆっくり
するから。
ペンキ: いくら?1000円で足りるか?
みどり: あんた自分の食べたメニューの値段もみてないの?
ペンキ: いやあ、もっと女はやさしくなきゃな。じゃ宜しく。
ペンキは店をでる
愛理さん: へええ~不思議な人
あかね: すぐまた今度問題おこすから、そしたらもう会わない。
あいう人もいるっいてこと。
愛理さん: 二度は見たくないけど、怖いものみたさで1度はってやつ?!
みどり: 名言。
あかね: えっと写真とっていい?HPとかにはあげないから。
こういう機会めったにないし。
愛理さん: いいね。しかもペンキがいない。
あかね: あははは。それを含めて、いい思い出になるね。
SCENE 2
浦安オリエンタルホテル ブローニュの森カフェ 2004年11月
あかね: えりっぷさん、お久しぶりです。
愛理さん: あ~あいたかった。あれから2年半?
あかね: 早いね、もうそんなにたっちゃったね。
愛理さん: いや~掲示板見てて、ちょっと心配で
あかね: 命の掲示板?あそこは、亡くなったワンちゃんの魂
がつのる場所ですからね。まあ大丈夫。
愛理さん: あのペンキとかは?
あかね: あいつのまだみてんの?
愛理さん: もう見てない。全然みてない。でもインパクトな記憶はあって
あかね: 悪いインパクトでしょ?
二人は椅子に座る。
あかね: コーヒーでいいですか?
愛理さん: ブラックで。ふふっ
あかねさん: コーヒー2つ。ブラックで。
スタッフ: かしこまりました。
愛理さん: 最近忙しくてね~。
あかねさん: あの頃、大丈夫でした?我慢してませんでした?
愛理さん: え、調子悪そうにしてました?
あかねさん: 正直にいっちゃう。あなた平松愛理さんでしょ?
部屋とYシャツと私の。
愛理さん: えっ
あかねさん: あんときから気づいてたけど、ファンのBONさん
いたから黙っていたけど、
愛理さん: 知ってたんだ~。
あかねさん: あたし、左手が不自由だけど、感はするどいの。
愛理さん: はあ~。
あかねさん: もう元気みたいで安心した。BONさんも喜んでいるだろうね。
愛理さん: BONさんには云わないで~
あかねさん: 安心して、私もそういう業界にいたから
愛理さん: へっ?
あかねさん: BONさんに先月会いました。このとなりのブライトンホテルで。
愛理さん: え、デートしたんだ。
あかねさん: デートってもんじゃないですよ。まあ最後、付き合いたいとか
いってたけど、少なくてもあたしじゃないでしょっといったけどね。
愛理さん: BONちゃんふられちゃった~。
あかねさん: あの人は違うよ。私じゃないよ、絶対ありえないね。
気を使っていってくれたのはありがたいけど。
愛理さん: そうなのかなあ
あかねさん: 私はBONさんにアドバイスした、’やりたいことやりなさい’と
ただ、あまりにも、愛理さんHPやりすぎるので、もう少し距離感
もったほうがいいよともいった。
私はたけしさんの付き人13年やってた。
だからBONさんの気持ちもわかる。
愛理さん: たけしさんの?ほんとお?
あかねさん: 私、なんでもやりますとたけしさんにいった。
たけしさんは’自分のやりたいことをやるのがいいよ’といった。
人の為じゃなく、自分の為、ずっと考えて、やめた。
愛理さん: やめたんだ。
あかねさん: 私は、私の想いのつまったぬいぐるみを作ることにきめた。
愛理さん: たけしさんは応援してくれてるの?
あかねさん: いや、あの世界はあたし凍結。でもこんなことをいってくれた
’時代に逆行することはいい’と。
愛理さん: 深いなあ。違うな、やっぱり
あかねさん: 私が一番したいことをする。押し付けかもしれないけど、BONさんにも
この前いった。
愛理さん: ・・そうなんだ
あかねさん: でもあの人は、あの道つらぬくだろうな。’一番やりたいことだと思うし’
愛理さん: ぬいぐるみはどのくらい作ったの?
あかねさん: 与作はあるけど、それ以上に念のこもった子を創りたい。
あたしの今の夢は’個展’を開くこと。
そして愛情注いだ子を里子にだすこと。
愛理さん: 個展開くとき教えて!いってみたい。
あかねさん: ぜひ宜しくお願いします。
SCENE 3 自宅ネット
愛理さんは自宅のパソコンを見ている。
愛理さん: 久しぶりにあかねさんのHP・・
え?ハルッカ亡くなった?ええ?大丈夫かな彼女。
この子たちのために働いているといってたのに。
・・・・よし。
彼女の為に曲を書いてあげよう。
・・月に座ってみていてね。
SCENE 4 個展場 2010
愛理さんはドアを開ける。
あかねさん: ああ、愛理ちゃん、来てくれたんだね、ありがとう。
愛理さん: 心配したのよ、いろいろと。ほんとに
みどりさん: 愛理さん!あたしのこと覚えてます?
愛理さん: 覚えてる、覚えてる。みどりさん、一緒に食事した
みどりさん: 変わってないね。
愛理さん: あかねさんのお手伝い?
みどりさん: お手伝いよりスタッフやってます。
あかねさん: 主に、ロゴもの担当です。T-シャツとかタオルとか
よかったら買ってって。
愛理さん: ぜひっ、そうそううちのヌ~ちゃん
あかねさん: ぬーちゃん。手入れしてくれてる?手入れしないと
愛理さん: してる、してる、娘がね、これは貴重って喜んでいるの
あかねさん: 大事にしてもらえて、ヌ~ちゃんも喜んでいるわ
愛理さん: ここにおいてある展示品が、すごーい。
あかねさん: もう買い手がきまっちゃってるのもあるんだけどね。
愛理さん: すごい。ハルとルカも
あかねさん: あの曲は泣かせていただきました。この子たちも
真剣に聴いてくれてました。ありがとう。
愛理さん: あたしは音楽しかできないんで
あかねさん: その音楽が、魂をゆさぶる。あ、でもね、あのビデオは
満月じゃなくて三日月でしょ?
愛理さん: え?月は好きだけど、三日月
あかねさん: あっそっかそっか、BONさんが三日月なんだっけ。
愛理さん: ふふっあのひとは~そうかも
あかねさん: あれは久々に泣いた。
愛理さん: それより、あかねさん大丈夫?私はそれが心配。
あかねさん: がーんって思った?でもこうやって今、個展開いてるし。
愛理さん: すごいな~。あたしなんか、・・あ、そうそう
あかねさんにプレゼントがあるの
あかねさん: 何?
愛理さん: あたし、書道家の人と組んで、あたしのフレーズを
書道家の人に書いてもらったの。
それをハガキにしたの。好きなの選んで。
あかねさん: ちょっと座るね。みどりんちょっと物販宜しく。
みどり: はいはい。
あかねさん: 1枚いくら?愛理さんと書道家のコラボじゃ1万はするよね
愛理さん: 何いっちゃってます?他の人には売るけど、ただでいいよ。
好きなやつ5枚ぐらいよかったら
あかねさん: あたし、真剣にみる。
愛理さん: 真剣にって?!ふふっ
あかねさん: これと、あ、これ好き。これ。
1万払うよ。
愛理さん: 大丈夫、私の本業歌だから、歌で稼ぐ。
あかねさん: ほんといいんですか?あたし一般人ですよ。
愛理さん: そういうの関係ない。きまった?
あかねさん: 決めた。ありがとう。
愛理さん: 本当は、もうちょっといたいけど、結構スケジュールあるので
ごめんね。
あかねさん: いえいえ、来ていただいただけでも恐れ多い。あ、与作もってって
愛理さん: え?あたしに?いいの?これ初期の作品で大切なものでしょ
あかねさん: この子はあなたしかいないよ
愛理さん: ありがとう大事にするね
愛理さんは店を出る。
SCENE 5 イベントハウス 2013
みどりさん: それでは、えりっぷさん、お願いします。
愛理さん: 皆さん、こんにちは、ここにいらっしゃる方々は
ほんとに、・・ごめんなさい。あかねさんを心から
愛していらっしゃった方で、あかねさんが残していった
あかねさんの分身、今、彼女もあのあたりに今いるんじゃないかな。
ほんと、見にきてくださっていると思います。ね。
みどりさん: うん。
愛理さん: あたしも、癌の手術しました、でもこうやって今ここにいて
天ってほんと時には残酷だなって、あのとき元気そうでやっていたから
・・ブログは見てました。でもよくなることを信じていて、
ずっと更新されていないのがとても気になっていました。
あたしはあかねさんとは2002年に初めてお会いしました。
みどりさんも。
みどりさん: はい。いました、あそこに
愛理さん: 自分にまっすぐな方で、そうそうあの時、ハガキ渡しました。
みどりさん: あたしそれ持ってます。
愛理さん: え?
みどりさん: ここに。これあかねさんが去年くれた年賀状。
’自分の歴史は自分を裏切らない’、言霊になって
ずっとこの言葉、私の心にいます。
彼女の形見です。
愛理さん: ・・あっだめだ。泣きそう。ちょっとごめんなさい。
・・・出会いってあると思います。大事な願い。
わたしは、えりっぷといいます。それ以上は何も言わないでください。
私はえりっぷの親友として歌います。
ほんとは、5曲やるべきなんでしょうけど、2曲に絞らせていただきました。
人生つまずいたとき、自分を見つめなおします。
自分の決めたこと、それが道になります。あなたしかできない。
’道’を聴いてください。
<道>
愛理さん: 聴こえてるかな。聴こえてるよね。あかねさん。あなたが決めた道は
いろんなところで花を咲かしたよ。この部屋にこんなにあなたの
命がやどってるよ。私の席には与作と、ヌ~がいます。
あかねちゃん、これあなたの魂だよ。
この曲はちょっと封印していたんだけど今日歌います。
いままで会ってきたすべての方YOU、そしてそれらはみんな宝物
YOU ARE MINEという気持ちを込めて、きいてください。
みどりさんと愛理さんが抱き合う。
みどりさん: ありがとう、ありがとう
愛理さん: 届いてるかな?届いてるよね。
拍手。