妄想ひーくんと三人娘

妄想ひーくんと三人娘

平松愛理

妄想ひーくんと三人娘

平松愛理

妄想ひーくんと三人娘

ひーくんは32歳の独身OL、趣味で小説を書いている。 ひーくんはスターバックスの1Fでノートパソコンを持ち込み、 物書きをしていた。だがなかなか筆が進まない。 スタバーは2Fがメインフロアで1Fにはひーくんしかいなかった。 ひーくんは顔をこすった。ひーくんはつまると顔をこする癖がある。
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 ひーくんはもう1つ趣味をもっていた。 アーティストのファンサイトというものだった。 ひーくんは3人のアーティストのおっかけをしていた。 平松愛理さん、岡村孝子さん、沢田知可子さん。である。 ライブやイベントなどいってはレポートをWEBに上げていた。 ひーくんの創作活動の息抜きになっていた。
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 とそこへ、3人の女性が飲み物を持って降りて来た。 ひーくんのテーブルの1コ先のテーブルで囲むように座った。 ひーくんは目を疑った。 なんと、ひーくんが応援している、平松さん、岡村さん、沢田さん にそっくりなのである。まさか、まさかね。 そんなことがあるはずがないと、ひーくんは疑ったが、 もうひーくんの神経は3人の会話にくぎつけだった。
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 アーティストの話しは聴こえてこない。一般的な女性の会話だ。 何だ違うのか。いや、でも何かおかしい。全神経を集中させる どこからどうみても外見はアーティストなのである。 あまりじろじろ見ると、怪しく思われる。 だからみてないふり、聞いてないふりできいている。
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 ひーくんの妄想がはじまった。ひーくんはその3人の女性が 本物のアーティストであるかどうかはもう関係なかった。 本物であってもなくてもいいように、 嘘をいわないように、伝える方法を考え始めた。そしてACT ON。
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 ひーくんは携帯電話をかけたふりをした。そして一人で話しだす。
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「あ、西脇さん?あたし辛島。え?そうそう、あたし平松さん、 岡村さん、沢田さんのサイトやってるの。しょぼいんだけどね。」
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 下の名前を言わないのは嘘ではない。 名字だけでは男性か女性かもわからないのだ。一般の人かもしれない。
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 「え?何?しょぼいままかって?え?聴こえずらい・・」
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 ひーくんは携帯の裏のふたを開けて、電源電池をとって彼女たちに みせながら話す。本物ならファンであることに気づき、一般の人ならクレージーに 見えることだろう。
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 「あ、よく聴こえるようになった。もう更新しないのって?するよ。 あたしのライフワークだもの。がんがんやるよ!じゃね!」
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  ひーくんは携帯電話を切って、電池をいれフタをしめると、2Fに 上がっていった。3人の女性はぽかーんとしている。 作家はたまにファニーなことをするかもしれない。
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