ソングライター 愛理

2014年作

平松愛理

ソングライター 愛理

平松愛理

ソングライター 愛理

SCENE 1 スターバックス内

愛理は紙に文字を書こうとしている。 しかしながら進んでない様子である。

愛理:  ふう。

千賀子が走ってくる。

千賀子: ごめん、待った?

愛理:  ん~待ってはいない、書き物してるから。

千賀子: でも何も書いてない様子ね。今日も不作?

愛理:  もお~だめ。なんにもでてこない。

千賀子: そもそもなんで書いてるの?

愛理:  昔はねー寝てる時に、いっぱい文字が降ってきて 眠れないから、起きて書いてすっきりして寝たんだけど。

千賀子: 今もそうすればいいじゃない?

愛理:  いやー150までは、どこどこにいっていろいろ詞にして やっていたけど、最近は全然さっぱり

千賀子: 書きたいときに書けばいいじゃない?

愛理:  今の仕事がねー満足いってればねー

千賀子: 作詞家になりたいってこと?

愛理:  いや、そうはいってないんだけどー出来上がった時の 達成感は仕事よりもあるんだよね、

千賀子: ケーキ店員から中に入っちゃったから?

愛理:  まあ総務は悪くはないんだけどねー

千賀子: 愛理さんのそんな不思議な魅力は応援したいけどね。 今日、台場いくってのは、無駄かな?

愛理:  んん~あれ、ちょっと疲れてる?文具店の仕事はうまく いってる?

千賀子: 私も昨日は貧乏くじひいたわ。今週は朝番で6:30から 働いているんだけど、普通は15:30で終わり。 普通はね。いつも寺地がいるから。

愛理:  やさしい、寺地さん。

千賀子: いつも、すべてやってくれる寺地さん、昨日、法事でいなくて。

愛理:  副店長さんいるでしょ?

千賀子: あいつ許せないね。うちって、文具とコンビニの複合店じゃん? 確かにあたしはあまり文具知らないけど、レジ締めと、売上日報は 社員の仕事、というか遅番の仕事。 今まで、寺地がかぶってやっててくれたけど、いないじゃん。 副店長がやるべきじゃん、遅番なんだから、レジ締め。

愛理:  やらなかったの?

千賀子: 文具のエリアにずっといてやろうとしないんだよ。レジ締め。 店長は本社会議でいないし、あたしが、レジ締めと売上日報 その他やるはめになって。13時間だよ。昨日。 ばかみたい。

愛理:  ひどいねー。できないんじゃないの?

千賀子: もともとできない奴だから左遷されたんだけどね。 そこでもともと入ったあたしはこんなアホの尻拭い。

愛理:  そんなとこやめちゃえば?

千賀子: この不況でどこいくんだよ。ねえねえ、愛理!あなた音楽やりなよ。 作詞家。あたしお手伝いするからさ。

愛理:  そんなこといってもさあ、どうすればいいかなあ。

千賀子: うまいこと1曲当てれば!

愛理:  そんなこといってもなー

千賀子: 欠けた月、なんとかしなよ。あれはいいと思うよ。

愛理:  欠けた月、かあ。なんとかしたいね。あれ?何もってんの?

千賀子: ああ、モリコン、今週、キンキでてるから買っちゃった。 今週1位なんだー♪ほら、こんなに売れて。 愛理もこのくらい売れれば、嬉しいでしょ。

愛理:  1位ねー。

千賀子: 特集もあるんだよね。このページと後ろのほうに・・・

愛理:  あ!ちょっと!

千賀子: 何?なにか起きた?

愛理:  もいっかいそのページ見せて。

千賀子: これ?

愛理:  モリコン作詞スクール、有名作詞家の講義。

千賀子: ほーいつ?・・もう先月からやってんじゃん、これ。

愛理:  1回だけでもOK。1回5000円、残り6回24000円

千賀子: 高いねー。さすがモリコンだね。

愛理:  いつ?・・今日やる!

千賀子: 14:00から。

愛理:  今何時?

千賀子: 12時45分だけど、え?今からいくの?

愛理:  あたしいく。この偶然面白い!

千賀子: ちょっとまだ、私食べてないんだけど、

愛理:  サンドイッチ奢る!

千賀子: 愛理ちゃん。あたしも出るわけ?その講義。

愛理:  それも奢る!

千賀子: そう!そのキラキラ感大事にしたほうがいいよ。 でも急すぎ。

愛理:  急げばまわれ!行くよ。ここからならまだ間に合う。

千賀子: どこだっけ?

愛理:  六本木だ!急ぐよ。

千賀子: 当日OKなの?ちょっと電話しなよ。ほらっ、携帯。

愛理:  ええと・・・あの、今日、講義参加したいんだけど、 大丈夫ですか?OK?2人は?大丈夫!じゃ今から行きます。

千賀子: ひらめきと実行力はすごいね。

愛理:  じゃいくよ。

SCENE 2  モリコン受付

愛 理:  先ほど電話した受講希望者の愛理と千賀子です。

受付:  ああ、先ほど電話の・・。講座は10回ある講習会で 本日4回目です。本日だけですと一人90分5000円 残り6回おまとめなら、割引きいて、24000円になりますが、 いかがなさいますか?

千賀子: あたしは1回でいいよ。

愛理:   あ・・・じゃあとりあえず、1回で。

受付:  今回、個別カウンセリング面談があるのですが、 それはいかがですか?

愛理:   え?そういうのあるの?受けたい!

千賀子: それはいくらですか?

受付:   カウンセリングについては無料です。授業終了後 20分程度作詞家、徳永さんでのカウンセリングですが、 いいですか?

愛理:   宜しくお願いします。千賀子いいよね?

千賀子:  私、横について聞いててもいいですか?

受付:   あなたもカウンセリング希望ですか?

千賀子: いいえ、私は付き添いです。

受付:  いいですよ。面接ではないので、付き添いとして予約いたしますね。

千賀子: あ~それ結構待たされる?

受付:  カウンセリング講師は3人いますので、終了後すぐにご案内できます。 講師指定希望あるならば時間はかかりますが。

愛理:  あ、いいです。いいです。徳永先生で。

受付:  では、10000円になります。

愛理:  はい、10000円

受付:  ありがとうございます。 ではお急ぎください。 もう講義開始時間です。靴はここに脱いでいただいて、 あいているところにお座りください。

愛理:  はい。千賀子、急ごう。

千賀子: まあそんなに急がなくても・・・

二人は部屋に入り最後列のあいている席に座る。 ほどなくして、司会の方が登場し話はじめる。

司会:   えーそれでは時間になりましたので、はじめたいと思います。 今週も先週に引き続き、鈴木先生宜しくお願いします。 先週の鈴木先生の宿題、曲に詞をつけてきた人は もう提出済みでしょうか。まだの方、受け取りますので 出してください、いませんか?

一人急いで提出する

司会:   他にいませんか?大丈夫ですね。では鈴木先生宜しくお願いします

鈴木:   鈴木です。今日も宜しくお願いします。

会場拍手。

鈴木:   さて、先週の宿題、やってきてくれた方、どのくらいいますか?

会場の半分ぐらい手を挙げる。

鈴木:   別に書かない人はそれでもいいですが、出さない人はチャンスを 逃してますよ。どんなにすばらしい作品出したって、人との繋がり を大切にしなければ、世に出ることはありません。 この業界はいい人といい人の出逢いで成り立っていることを 忘れないでください。 とりあえず、先週もいったとおり、宿題、1日で仕上げた人の 2,3人紹介して、論じたいと思います。

千賀子: (小声)偉そうな人だね

愛理:  (小声)そうだね。

鈴木:   はい、何かいいましたか?

愛理:   すみません、なんでもないです。

鈴木:   それでは、最初は高橋さんの作品。

歌詞を読み上げる。

鈴木:   時間がないので、1番だけにいたしますが、どうですか? 意見がある人はいってください。 人の作品に意見言えないということは、つまりは いい作品が作れないということですからね。

A:  はい、私、感想いいます。

鈴木:   はい、鈴木さんどうぞ。

A:  すごく魅力的な歌詞だと思いました。どちらかというと、 アニメの主題歌なんか似合うんじゃないかなと思いました

B:  ありがとうございます。

愛理:  はい。

鈴木:  はいどうぞ。

愛理: なんか比喩的表現がおおすぎてわかりずらいんじゃないかな。

B:    なるほど、参考になります。

愛理:  いや、ごめん、そんなこと言える立場じゃない。

鈴木: いいんですよ、それで。いわなかったり、適当なこというよりかは ハッキリいった方が双方の為になる いうほうも自分の作品を批評される覚悟あるだろうからね

愛理: あーいたいなあ

B;  いや、確かに、比喩的表現多すぎたかなあ。って思ってます。

愛理: ごめんね、偉そうに。

鈴木: 次いきましょう、同じメロディが課題でも、作者によって、これだけ 違うのか。そう感じさせてしまう詞です。

鈴木は1番の歌詞を読む。

鈴木:  さあ今度はどうですか。

愛理: (小声)このメロディで演歌歌詞がー

鈴木: なんだ、静かだな。夢に貪欲な人でないと 食べてはいけないからな。今日は私からは以上です。 あとで、西田さん、お話がありますので、終了後きてください。 次は森田先生の授業です。

愛理: あり?この人もう終わり?

知加子:   先週の結果の報告なんだろうね。

c: 森田先生ー

d: 待ってました。

e: 例のcmの歌やってください。

盛り上がりをみせている

愛理:  な、なに?

森田: 皆さん、こんにちわ、ラジオcmの森田です。 リクエストがあったんで、ピアノでcmやっちゃうよ

森田は弾く。拍手喝采 

森田:  改めて。森田です。そう皆さんご存じのとおり、ラジオcmの奴です。 ピアノも弾けますけど、作詞家です。 さあ、皆さん、作詞家になりたいですか、おお、いっぱいいますね。 そうですよね、ここ作詞家クラスですからね。ただ、この世界こわいひと いますよーいいですかー。自分の場合はですね、まあいいか。

愛理:  さっきの人とちがって、ほがらか。

千賀子:  いろんな方いますね。

森田: そうそう私は作詞家ですけど、皆さん、作詞家って どのくらいいるかご存じですか?

f:  1万人?

森田: いいところいってますね。8000人くらい。 でも卵あわしたら3万人はいます。 すごい人数ですね、では、ここで活躍できてる人はどのくらい はい、100名といません。それも名だたる歌手を手がけているには 10人いるかいないか、そしてその人が作詞家の印税額の9割はそのひとたちです。 しかも、以前よりシンガーソングライター増えましたからね。いい 非常に狭き門です。 あ、そうそう、作詞家は待ってても仕事きませんからね。 営業してまわる。これがねー、想像してるのと違うかもしれないなー 学校の校歌や、売れない演歌歌手の作詞、いろいろやりますよ。 選べるのは、あまりいないと思ってください。 この中で、自分の好きな歌手の作詞したいと思ってる人ー あはははー私と同じ、いましたねー まあ道は遠いと思ってくださいーははは さっきの先生もいったけど、コネがものいう。 いい人とコネしてください。 私とコネりたいひとー ははは、10人もいるの?そりゃまいったなーははは それでは本題にはいりましょう。ははは、ああそういえば、この曲知ってる? その曲はまだ、公になってない情報ですが・・・

80分後

司会:今日の授業はこれにて終了です。森田先生ありがとうございました。 カウンセリング受ける方は、受付のところへ行って従ってください。

受講生は順々に部屋をでる

千賀子: どうだった、私的には面白い話きけて楽しかったけど。

愛理: んーコネといいながら、そのコネがどういったらいいのか。 カウンセリング受けてくけど、いい?

千賀子:20分ぐらいでしょ?いいよ、別に。

2人は受付にいく。

愛理:カウンセリング受けたいんですけど。

受付:徳永先生ですね、c室です。もう入れます

2人はc室に入る

徳永:どうぞ、どうぞ、ここにお座りください。

愛理:失礼します

徳永:今日はどういった相談ですか

愛理:私、歌詞を150ほどもっているのだけど、 どうしたら、活かせるかなと思って。

徳永:では、自信作を3つ読ませてもらえるかな。 今、持っています?

愛理:ああーあります、鞄の中にいれた記憶

愛理は鞄の中調べて出す

徳永:作詞家になりたいんですか?

愛理:んー作詞家、難しいみたいだけど、なれるのなら

徳永:作詞家はならないほうがいいな、私も作詞家だが、 あくまで作詞もできるという程度でプラスアルファ という捉え方しないと、私はモリコンの顧問の徳永です。 ああ、これね、名詞。 そして、詞は・・・

愛理:欠けた月です

しばらく徳永は読む。

徳永:  悪くはないね。次は、2番に自信作

愛理:  ああ、思い出の11番街

徳永は30秒ほど、読んでいたが途中でやめる

徳永:  作詞家には向いてないな。作品はそれほど、悪くないが 同じテイスト、これ書いているとき歌う人思い浮かんでいる?

愛理:  確かに尊敬するアーティストいるから、似てはしまうけど

徳永:  作詞は、現存する歌詞を加工して、オリジナル作れるから別に 問題じゃないが、そこではなくて、 例えば、マッチならこう、中森さんならこう、聖子さんならこう そういうイメージをしながら書けるかということ

愛理:  自分の歌詞を使ってじゃなく?

徳永:  それができるのは、数名のプロデューサーだけ。 まずは、仕事を受ける、くるだけでありがたい。そこでその人の為 に作る。 それが、作詞家だ。 とりあえず、ステップとして、こういうところをお勧め 小田さんの事務所、こういうところちゃんとさがしてる? どうですか?

愛理: え、スタッフになれということ?

徳永: そこから可能性をさぐります。どうですか?

愛理: 自分の詞つかえなくて、スタッフは。

徳永: 視野がせまいね。そういうとこからコネは生まれてくるんだが。

徳永は出した求人誌ひっこめる。

徳永: 気がかわったらまた電話ください。 産道がせますぎる。

愛理: ありがとうございました。

千賀子:いいの?

愛理:んーまあ、ゆっくり考える

2人は部屋をでる。

SCENE 3  ホテル地下事務所

愛理はミーティングを開いている。 4人のおじいさん、2人のおばあさん、若者がいる

愛理:  本日もお疲れ様でした。明日も宜しくお願いします 明日また、朝のミーティングでも話しますが、 そろそろ来月のシフト作ります。 明日までにどうしても休みたい日を教えてください。

中野: 俺は2日でて、2日休み、健康のために働いているからこれでいい

村井: とりあえず、あいつと一緒の仕事でないえればいい

春野: 日にちはどうでもいいけど、俺朝5時45分からいるから その分はやく帰れないかな?

中村: はー土日たまにはやすみたいね。

愛理: みなさまのご希望にはなるだけそうようにいたしますが、 シフト組む以上、全部はできないのでご了承ください。 小畑さんにしわよせいっちゃうかたちになるけどいいよね?

小畑: 自分は1月17日、18日とれればあとはどうでも動きます。

愛理: わかったわ。それではお疲れ様でした。遅番の中村さん、あとお願いします

春野が走りさる

中野: なんだい、自分が勝手に早くきてんだろ。 出勤時間8時ってきまってんだからさ。

小畑: まあまあまあ、

中野: 今日は残業か?小畑?

小畑: そうだね、今日は勤務表かかないと、

中野: じゃあ、明日、おにぎり屋

小畑: わかりました。

皆去る。

愛理: 小畑さん、村井さんの件宜しく。

小畑: 藤井さんとペア仕事にしない件は了解です。 でもなかなか難しいんだよね。 みんなの希望きいてるから、日によっては 気の合うメンバーでない場合あるからね

愛理: そうなんだよなーあっ、小畑さん、チャペルの大理石清掃、来週の水曜で お願いします。さっき連絡とった。

小畑: 来週の水曜了解、水曜ーこの人選かー なんで、仕事以外のことで気をもまなきゃいけないんだろう あ、グレイスホワイエ、来週月曜日、ok?

愛理: あ、だめ。宴会はいったから、ずらして。 まあ、ホワイエそんなみためひどくないから、再来週あたり。

小畑: 了解です。・・・んーつかぬことお伺いますが。

愛理: ん?

小畑: 作詞家になりたいんですか?

愛理: はっ、えっ、なんでっ、なんで?

小畑: 私、モリコンの作詞家スクール生ですよ。 昨日、いましたよね?

愛理: えっ、なんでっ、なんで?

小畑: だめですよー隠しても。他の人の詞に意見してたじゃないですか。 すごいですね。なかなかいえないよ。あの先生の前では。

愛理: えービックリ!小畑さんいたなんて、そしてそういうことやってること自体!

小畑: うち、あまりおおっぴらにはいえないけど、ある歌手のファンサイトやってるんだよね ちょっとそういうことに興味あってね。

愛理: 逆にきいちゃうけど、作詞家になりたいの?

小畑: んーどうかな、サイトが歌手のファンサイトなんでいろいろ研究してる

愛理: そうなんだー。ぶっちゃけ、小畑さんだからいうけど、この仕事楽しくないんだよねー

小畑: そうなんだ。じゃあ、僕もぶっちゃけ、今、バイト長で勤務表書いてるけど、 サイトに興味あってね。そのうちここやめて、IT系に転職しようかと思ってる まあすぐじゃないけどね。ごめんね、2年後にはここいない。

愛理: 今ここ2人だから、ちょい秘密ね。そうなんだー あたし、詞150持ってるけど、作詞家に向いてないと言われてね

小畑: なにか問題?ソングライターになればいいじゃん。

愛理: ソングライター?あたし作曲できないよ。

小畑: できるよ。僕にだってできるから。

愛理: どうやって?

小畑は鞄をあけて本を取り出す

小畑: コードネタ本、これよんでりゃ1週間で作れるようになるよ。 これあげるよ。最近は俺、作曲しないし。

愛理: えっ、いいの?でも、あたし譜面かけないし。

小畑:あ、じゃあ、パソコン今何もってる?

愛理: 7だけど。

小畑: じゃあ使える。MIDIソフトあげるよ。高かったんだよ。25000円 ぐらいするやつ。

愛理: ややっ、それはさすがにやばいよ、ごめん、そんな高価なやつならいいよ。

小畑: なぜかというとね、俺今8なんだけど、このソフト8じゃ使えないんだ。 だから8用に買ったわけ。だから7ならば、32bitだから使えると思うんだ。

愛理: んーつまり、あなたは新しいの持ってるから古いものくれるのね。

小畑: 明日もってくるよ。CD

愛理: ちょっと待って、使いかたわからへん。

小畑: あーじゃあ、こうしよう。今度2人がオフの日、5日後、金曜の夜 スタバでレクチャ。愛理さんノート持ち込み、俺CD持ち込み。

愛理: 金曜の夜。んー友達連れてきていい?応援してくれてて。

小畑: 構わないよ。どっちの意味でも。うち彼女いるんで関係ないし。

愛理: それはそれでいいとはいえないけど、誤解のないように云っていただければ

小畑: じゃあ、金曜の19:30、銀座のスタバで。

愛理: 了解。

SCENE 4 スタバ 

スタバ 千賀子と愛理は席に座って話している

愛理:  15分前、そろそろくるかな?

千賀子: すっぽかしてこないんじゃないのお?

愛理:  いや、あの子は、仕事真面目。だからちゃんとくると思う。

千賀子:仕事はでしょ?今日仕事じゃないじゃん。

愛理:  大丈夫なの!仕事といえば、悪いね、今日来てもらっちゃって。 今週遅番でしょ。

千賀子:いつも残業してるからね、今日は店長もいるし、1時間早退したわ。

愛理:  給料ひびく?

千賀子: 大丈夫よ。全然。サービス残業の方がはるかに多い。 文具屋あぶないかもな。コンビニでいうセブンイレブンみたいな 業界1位、2位の業者は残れても、うちはあまり知られてない会社だし、 コンビニ複合店に社長は後ろ向き。

愛理:  やばそう。

千賀子: うまいこと逃げる準備かなー。文具って、食品みたいに毎日は買わないし 60円で仕入れて100円で売る商売。それが、同じ質の輸入文具が 50円で買えちゃうから。縮小するかも。

  愛理:  どうするの?

千賀子: だからあたしは、あなたのマネージャになるの。

愛理:  うへへっ、それ現実逃避ー。

千賀子: あたしは真剣なんだからねー。

小畑が入ってくる。

愛理:  あっ、こっちこっち。

小畑:  いやあ、ここいいねえ、地下がなんともいいね。 1Fはほとんどエリアないから降りてきた。 とりあえずwifiもってきたからNETは繋げるし、あ、ここ、wifiあるのか?! どっちでもいいや。とりあえず、CDもってきた。

愛理:  重かったのよ、7のノート。

小畑:  そのうちタブレットが主流になるよ。軽いし。便利。 まあまだ、いろいろ発信するにはまだノートは必要だけどね。

愛理:  詳しいね。やっぱりITにいったら、いや、だめだめ、もう半年はいてー

小畑:  どうかなー、PC電源つけてるね。バッテリー残量あるだろうね?!

愛理: あ、それはまだ87%ある。

小畑: 2時間はもつ。

愛理: 二時間もいるのお?ほほほ。

小畑: まあそれは愛理さん次第だね。とりあえず、CD入れ込んで インストールしちゃうね。まあ、wifiあるんで、アクティブにすることも できるし。まあ5分ぐらい待ってて。やっちゃうから。

5分経つ。

愛理: 手馴れてるね。すごいね。ホテル清掃ではないよなー。

小畑: で、もうこのソフト起動するね、で、この本見て。

千賀子:え?なにこれ。コードネタ帳。こんなのあるんだー

愛理: 私もびっくりしたんだよねー

小畑: 和音はここおして、DだったらDのところおして、エンター。 そうすると、和音作れる。

愛理: ほうほう。

小畑: で、8小節をセットになってるから、ああ、どんなイメージにしたい? 欠けた月

愛理: 好きではなかったけど、亡くなった方のことを想う、悲しいイメージなの。 悲しいけど、少しあたたかみのあるイメージ

小畑: んんと、じゃああ、これ?これにしてみる?8個和音作るね。

愛理: へー

小畑: さあ、できた、イヤホンあるから聴いてみて。

愛理: おお~。いい感じ。

小畑: この和音に合った、メロディを打ち込んでいく。 で、難しいように感じるけど、実は和音に合うメロディを 自然と選ぶようになってるんだよね。たぶんやってくうちにわかるから で、ここが大切なんだけど、そう考えると この8小節で歌詞をどこまで歌わせるのか、自然に歌詞を 変える羽目になるよ。ここが、作曲家からみた視線。

愛理: すごい!でも待って。そこまで知ってて、なぜアーティストやらないの?

小畑: 音楽作るのは難しくない。売れる曲を書くのが難しいんだよ。 うちの応援してる歌手、シンガーソングライターだけど、 いい曲たくさん、それでもなかなか売れないんだな。

愛理: いやあー身近にこんな人いたなんて、驚きだわー

小畑: 珍しくないよ、今、ボカロPRODUCERたくさんいるからね。

愛理: ボカロ。

小畑: まあ、初音ミク。とか、俺はめい子派だけど。 とりあえず、やってみな。メロディかけたら、仕上げは、アレンジ。

愛理: アレンジ。

小畑: ここに、ちゃららんみたな、ハープ音つけたら、綺麗だろうなとか、 月がテーマなら、繊細な音つけたり、楽しくなったら勝ち。

愛理: うおお~やる気になってきたぞー

小畑: こういうのって勢いでやってみるのも手だから、期限つけたら? そうだな、次、うちらが2人オフなのは?

愛理: ちょっと待って。ん~。来週の木曜。え~できるかな?

千賀子:来週は朝番だからあたしも付き合う。

小畑: じゃあ、来週の木曜の19:30にまたここで!

愛理: 小畑さんで一気に進んだ。

小畑: 誰かさん言ってなかった?いいコネがいいコネを作るって。

愛理: えへへへっ、小畑さんがそんなこというなんて。

千賀子:来週楽しみ。私もITへ移ろうかしら。なんか面白そう。

SCENE 5  スタバ 銀座

小畑と愛理が座っている。 千賀子が近づく。

千賀子:  早いね。ああ、小畑さんも、こんばんわ。 愛理!出来上がった?今日聴きにきたんだけど。ノートPCは?

愛理:  いやね、実はね、週末にがーっとやっちゃって、音源できたので、 小畑さんに聴かせたら、いろいろやってくれて 一時的に小畑さんのYOUTUBEに載せてもらってるの。 伴奏だけのと、メロディ入りのと。

小畑:  意外とやるの早かったよ、愛理さん。

千賀子:  聴かせて!

愛理さん:  いいよ、このスマホで、イヤホンつけて。

千賀子:   ・・・・おおお、いいね。いいよこれ!

小畑:  あとは、ボーカルだな。ボカロか、

千賀子:  ん?何か言いました?

小畑:  あ、聴き終わってからでいいですよ。

千賀子が聴き終わる。

千賀子:  繊細な感じがいいね。で、なんと言いました?

小畑:  いや、ボカロか本物のシンガー探すか。

愛理:  ミクはなーあまりぴんとこないなー

千賀子:  ん!任せて!あたし、友達で、歌う人、知ってるの! いい声してるよ。ちょっと待って。LINEで訊いてみる。 というか、今夜確か・・ちょっと待ってね。 ・・・やっぱり、今日、六本木のライブバーでライブ、20:20から。 ここ銀座、今19:40分、間に合う!みんなで聴きにいかない?

小畑: なんと、こういうシナリオですか。ひょうたんからアイスモナカ 俺も楽しみになってきた。愛理さん、この曲、仕上げるよ。

愛理:  おおおーまじでー

SCENE 6 六本木ライブバー

3人は会場に入り込む。ちょうど、りえさんが準備している。

りえ:  千賀子ー!久しぶりー。まじで、来てくれてありがとう。

千賀子:  今日はお友達連れてきました。小畑さんと愛理さん。

りえ:  ありがとうございます。来てくださって光栄です。 拙い音楽ですが、聴いていってください。

愛理:  ちょー楽しみにしてます。イメージにあうかどうか。

りえ:  イメージ?

千賀子:  あ、そうそう、お願いがあるーのよー。今夜、ライブ21:00には 終わるでしょ。ちょっと歌ってほしい曲があってね。

りえ:  今?

千賀子: いや、ちょっと、あとで話すわ。とりあえず、今夜、21:00にここ 抜け出すことは可能?

りえ:  通常は最後までいなきゃいけないけど、大丈夫だと思う。 あ、もうはじまるんで。とりあえず、前の方座ってください。

愛理:  ありがとう。

りえ:  こちらこそ。さあ、皆様、ここからはりえが歌います。 この曲はレクイエムです。大事な大事な曲です。では聴いてください

SCENE 7  和食居酒屋

4人が座る。千賀子はメニュータッチボードを押してみんなに訊く。

千賀子:  ビールがいい人!はい3人、あたしウーロン茶でいいや。 適当につまみ頼みますね。から揚げとか、和風だから サラダと、それと、・・頼みますね。

ほどなくして、店員がグラスもって部屋に入る。

店員:  ビール3つとウーロン茶です。

千賀子:  ありがとうー。さあ皆様、そろったところで始めましょう。 初めまして&お疲れパーティ!かんぱーい。

愛理:  乾杯!

小畑:  乾杯!

りえ:   乾杯!

りえ:  今日はほんと嬉しかった。千賀子ありがとね。皆さんも ありがとうございます。どうでしたか。

愛理:  めっちゃ感動した。あなたしかいないと思う。

りえ:  なんでしょう?

千賀子: あ、そうそう、りえさんにお願いがあって。 実は、愛理さん、そう愛理さんが書いた曲があって、歌い手探しているの。 で、紹介させていただいたんだけど。

愛理:  ほんと、魂が入ったような歌声だと思う。

りえ:  ありがとうあ、なるほど、歌い手探しているんですね。 音源と詞ありますか。

愛理:  あ、あります。あります。これなんですけど。

りえ:  聴いてみてからじゃないと、なんとも言えないので。

りえが歌詞を読みながら、MIDIを聴く。

りえ:  ・・・いいですね。これ。あたしね、個人的につらいことがあって、 この曲も、詞もすごいわかるんですよね。この曲なら感情移入はできそう。

愛理: いくら払えばいいですか?

りえ:  はい?あ、いいよ。きゃぴぴゃぴしてる曲だったらお断りでしたけど、 この曲は歌ってみたいですね。

愛理: 決まった!

小畑: 納期はいつになりますか?

りえ; 納期。

千賀子: あ、ごめん、これいつのまにか、愛理の曲を創ろうプロジェクトになってて 大きなきっかけを作ったのが小畑さん。

小畑:  とはいっても、実際は職場の上司なんですけどね。

愛理:  いや、あなたはITでばりばりやると思うよ。すぐにあたしより えらくなる。

小畑:  それはどうかなー

りえ:  あたしもプロとしてやってるんで、1週間待っていただければ 歌わしていただきます。まあ、無償で歌いますが。

小畑:  あ、ファイルとか送りますので、メール教えてください。

りえ:  了解です。アレンジはいいのかな、ボーカル入れるだけで。 バンドで弾くなら、他のメンバー加えるので、時間かかりますが。

愛理:  ボーカルのみで感謝感謝です。

小畑:  今日は愛理さんが奢りなのでじゃんじゃんいきましょう!

愛理:  ええ~。ふふっ。

SCENE 8 ライブ打ち上げ。飲み屋

千賀子:  愛理、欠けた月、完 成おめでとうー晴れてソングライターだね!

愛理:  ありがとうございます。皆さまのおかげです。

小畑:  一応、正式に、愛理さん提供のりえさんの欠けた月が昨晩 YOUUBEにアップしました、

一同拍手。

りえ:  普通、他の人の曲は意味が100%はわからない歌詞や 歌い入れのポイントとか迷うんだけど、この曲はすっと なじみましたね。

愛理:  ありがとうございます。でも視聴回数5回。

小畑:  ははは。そんなに簡単に聴かれないよ。まあ聴かれる方法はありけどね

愛理:  どういう方法?

小畑:  聴いてもらってなんぼと思っているなら、お金払って動画広告やればいい 路上で客いないところ歌っているよりかはいいかもしれないよ。 まあそこは価値観の違いだけどね。

千賀子: あたし、少し出すよ。

りえ:  あたしもやるわ。あたしの名義の曲だし。あたしの宣伝になるし。

愛理:  よしっ、やるかあ、小畑さんは?

小畑:  えええ?給料あげてくださいよーそしたら考える。

愛理:  ええ?あたしそんな権 限ないんですけどお~

千賀子: これから楽しみね。小畑さん、あたし、愛理のHP作りたいから教えて。

小畑:  5万円

千賀子: 金とるのかよ。

小畑;  冗談ですよ。ははは

千賀子: 本当にこれから楽しみね。

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