コンビニ嬢 平松愛理

2010年作

平松愛理

コンビニ嬢 平松愛理

平松愛理

コンビニ嬢 平松愛理

SCENE 1フロンティ葉置ビル内コンビニ 12:45

コンビニレジは3台あり、1番目のレジを愛理が、2番目のレジをのりこ がレジに立っている。 社員の洋介がコンビニ弁当とお茶をもってレジにいく。

愛理:今から食事?

洋介:そう、ばばばっと食っちゃおうと思って。

愛理:ゆっくり食べればいいのに。

洋介:男性社員はそういってらんない。

愛理:きばりすぎじゃない?777円です。

洋介:おっ、いい数字だな。今日はいいことおこるかな。 そういえば、最近あの人こないなあ。はあ。

愛理:あーー。あの人ね。

洋介:あ、俺自分で温めるからいい。

洋介は弁当をレンジに入れてあたためる。 そして、一度スタッフルームに入る。

のりこ:あの人ってあれでしょ?例の12Fのベック社のお姉さんだよね。

愛理: 多分そう。お水、いつも1ケース頼む人。いつも彼は 12Fまで納品にいくんだよね。必ずいきたがる。

のりこ:彼はあの人好きなんだよね。いつもサービスといって 自腹で2Lの水、買って納品する。 いらっしゃいませ。

愛理: えっそうなの?それは知らなかった。 (客へ)いらっしゃいませ。お弁当あたためますか?

客:  そうする。あと~

愛理: 峰ですね~。

愛理は後ろから150種類ある煙草から峰を1箱ぬいてお客に出す。

愛理:875円になります。

客: 今日はヨウサンのステーキ弁当もうないの?

愛理:ああ~今日はもう売れちゃいましたねえ。 すみません。

客: あれおいしいんだよ。あれが楽しみなんだよね。

愛理:残る日もあるんですけどねえ。すみません。店長に増やすよう いっておきます。

客: おお~、頼むよ。今日は遅めの昼だからね。

愛理はお弁当と飲み物を袋に入れて客に差し出す。

愛理:ありがとうございました。

店長が弁当の棚のところへ行きうろうろしている。

店長:平松さん、洋介は?

愛理:あ、中だと思います。

店長はスタッフルームに入る。

店長:洋介。今日はデービックの弁当残っているな。 ちゃんと見てるか?

洋介:今日はヨウサンの弁当でちゃいましたね。

店長:ちゃんと見ろよ。廃棄が多すぎると困るんだ。 本社に何いわれるか。

洋介:わかりました。

洋介はあったまった弁当をレジから取り出し、スタッフルームへ入る。

のりこ:彼も大変だね。店長にさんざん言われて。

愛理: そんな彼のオアシスが12Fの人。 自腹って。好きなのかなあ。

のりこ:好きだね。間違いなく。目の色違うもん。

愛理: 告白しないのかなあ。自腹でサービスしてても、ただ ラッキーと思われるだけだと思うんだけど。 しかも水はその人だけが使うわけじゃないし。

のりこ:店長も知ってて黙っているみたい。

愛理: ふう~ん。

のりこ:あ。・・いらっしゃいませ。

愛理: いらっしゃいませ~。

12Fの人: ええ~と、いつものようにお水を・・

洋介が走りこんで、レジに立つ。

洋介:あ、私がうけます。お水を一ケースで。 12Fの人: いつものように12Fに納品お願いできますか?

洋介:伝票後払いですよね。わかりました。

12Fの人: 宜しくお願いします。

12Fの人は微笑んで店を出る。

愛理: くしし。

のりこ:くしし。

洋介: これは私がいきますから。平松さんはいかなくていいです。

愛理: ふふっ。じゃあ用意だけしとくね。お水7本。

洋介: ・・いや、それは。

愛理: あ、6本プラス1本で。1本はビニール袋にいれとくわ。 まだ、食事の途中でしょ?伝票は自分で書いてね。

洋介: あ、・・じゃあお願いします。

洋介はスタッフルームへ入る。

のりこ:ああ~。ぶきっちょなヤツ。くふふ。

愛理: ふふん。いいこと思いついた。のりちゃんちょっとレジお願い。

のりこ:はいよ。

愛理は文具コーナーへ行き、I LOVE YOUとかかれた メッセージカードを1枚選び、のりこにレジにもってく。

のりこ:え?買うんですか、カード

愛理: ちょっとね。使うの。

のりこ:315円です。

愛理は御金を払う。そして外へ行き、水を7本用意する。 サービスの1本とカードをビニールの中に入れる。 愛理はスタッフルームへ行く。

愛理:洋介さん。用意できたよ。伝票書いた?

洋介:書いた。じゃ、いく。ありがと。

愛理:店の外に台車にのっけてあるので、宜しく。

洋介は伝票をもって走って台車のところへ行き納品する。

SCENE 2  12Fベック社入り口

洋介はいつものように、納品する為にドアを開ける。 そしてその担当の女性のところに行く。

三木:いつもサービスありがとうございます。

三木さんはビニールの中に水以外のものが入っていることに気づく。

三木:あれこれは。。

洋介:ええ?ええと。

洋介はカードを取り出す。

洋介:あ・・。

三木:・・私に気があることはわかってました。 ありがとう。お友達からなら。

洋介:い、いや、いつもありがとうございます。す・すすみません。

三木:ふふっ。

SCENE 3  店の中

洋介がにこにこして戻ってくる。

愛理:何かいいことあったんですか?

洋介:いや、別に。め、め、飯でも食おう。

洋介はスタッフルームに入る。

愛理: くっしっし。好きならはっきりいわなあねえ。

のりこ:なんだろうねえ。ふふ。

店長が2人に近づく。

店長: 洋介が飯終わったら、2人、休憩ね。

愛理: わかりました。

のりこ:わかりました。

愛理: 洋介さん、がつがつ食べて、すぐ戻るかもねえ、 ふふっ。

のりこ:ああ~。愛理さん、ちょうどよかった。 あのことなんだけど。飯の時間話してもいい?

愛理: ええよ。あなたの恋愛。ふふっ

のりこ:私は洋介とはちがって想いは伝えるよ。

愛理: そうだねえ。

SCENE 4店内スタッフルーム

愛理とのりこは昼食をとっている。

愛理: ここはいい眺めね。

のりこ:もう少ししたらビーナスフォートができる らしいですよ。

愛理: 楽しみねえ。

のりこ:お子さんは元気ですか?もう2歳になったんだっけ。

愛理: 2歳半です。そうそう、近くに親戚の結婚式になるんだけど 娘が新婦のドレスの裾を持つ役で。

のりこ:かわいい!すごい。

愛理: 今、ゆっくり1歩を練習してます。くふっ。

のりこ:式終わったら写真みせてください。

愛理: もう~、最近娘がなにをしててもゆっくり1歩をするのよ。 ははは、おかしくて。

のりこ:いいなああたしも結婚したいなあ。

愛理: リチャードさんと?

のりこ:そうリチャードと。公演が今週で終りじゃない。 私、彼とアメリカへ行こうってきめた。

愛理: ええ?ここやめちゃうの。

のりこ:やめちゃう。彼についていく。

愛理: うう~ん。そのことなんだけどね、おとといの彼の手紙の件でね。

のりこ:そうそう、ラブラブに書いてあったでしょ?

愛理: やあ~。彼のね、ラブレターみると、ちょっとね。

のりこ:いいの。私決めたんだから。今日店長にここ週末でやめるというわ。

愛理: そいつはどうかなあ。英語どうすんの?

のりこ:英語なんてアメリカにすんでりゃ慣れる。

愛理: 今回の彼の文を和訳してみたんだけどね、も~1行ごとにテンション 違うの。僕は君とアメリカの新しい街で過ごしていきたい。 でもアメリカにかえれば、彼女との厳しい現実が待っている。 ああでも君が好きだ。ああでも彼女を裏切ることはできない。 君という天使と過ごしたい。 ここまで優柔不断だと笑っちゃうよ?!

のりこ:彼の悪口は言わないで。彼は本当に悩んでいるのよ。 彼のためにやさしい言葉をかけてあげたいの。 そこでね、今回はこの文章を英訳してほしいの。

のりこはバックから紙をとりだし愛理にわたす。

愛理:ちょっとみせてね。

愛理はその紙を読む。

愛理: ん~。ん~。わかった。今、文章作るから。 今日、彼は?公演してるの?

のりこ:今日は17:00まで公演してるわ。

愛理: じゃあ今日、ここ終わったら彼に渡しにいかない? うちらも17:00までだから、ちょうどいいかも。

のりこ:あ~緊張する~。

愛理: あたし、これから1人で英訳してるわ、コーヒーショップで。

のりこ:あたしもいく。

愛理: 一人がいいの。大丈夫ちゃんと訳すから。 今週末までに答えをききましょう。

愛理はお弁当をしまってバックにしまい、バックに手紙をいれる。

愛理:がんばっ!

愛理はスタッフルームを出る。

SCENE 5  コーヒーショップ

愛理は早々と彼女のメッセージを英訳する。 そして愛理は自分の曲’今日の恋人’の英訳をはじめる。 そして書き終わるとMDと手紙を中に入れる。

SCENE 6 堀ジョイサーカステント前  17:15

のりこと愛理はテントの裏口付近で待っている。

のりこ:くおおお。緊張する~。

愛理: 大丈夫、大丈夫。彼は何時頃でてくるかな?

のりこ:すぐだと思う。いつも20分にはでている。

愛理: すごいなっ。あ、彼?

リチャードはのりこに近づく。

リチャード: HI!What's up?

のりこ: THIS! THIS!

のりこは手紙を渡す。愛理はそれをみると、1人消える。

リチャード: Let's go out dinner!

のりこ: Yes,yes。

リチャードとのりこはお台場に消える。

SCENE 7  フロンティ葉置ビル内コンビニ 15:00

スタッフルームで店長とのりこが話している

。 店長: そんないきなりじゃ困るよ。今日でやめるなんて。 普通は2週間前にいってくれないと。 これは常識だぞ。

のりこ:すみません。急に決まったんです。今日やめないと、 私はアメリカに行けない。 店の都合はわかりますが、すみません、今日で。

店長: アメリカにいついこうが、お前の勝手だが、穴ができるんだ!

愛理がスタッフルームに入る。

愛理: どうしたんですか?

のりこ:愛理さん、アメリカ行き決まったよ。ありがとう。

店長: オレは認めないぞ。

愛理: 穴をうめればいいんですよね。2週間ぐらいなら、彼女の穴 うめますよ。

のりこ:愛理ちゃん。

店長: 平松さんが埋めるのか?うめてくれるならいい。 ただ、もう日本に戻っても入れないと思え。 お前、一度アメリカいって、戻ってきて働かしてやったんだ。

のりこ:わかってます。

店長がスタッフルームから出る。

のりこ:愛理ちゃんありがとう。

愛理: おめでとう、たまには手紙ちょうだいね。

のりこ:もちろん。

愛理さん、ちょっと聞きたいんだけど、 リチャードが云っていたんだ。日本語で。たどたどしく。 ’今日の恋人’って曲は効いたって。 振り切れたって。愛理ちゃん、どんな魔法を使ったの?

愛理: 人生経験よ。くふっ。 ロスにはいついくの?

のりこ:明日のお昼。

愛理: 明日のお昼かあ。あたし明日は非番だし、見送るよ。 のりこ:ほんとう~?!ありがとう~。でも悪いよ~。

愛理: まあ気にしない、気にしない。 (小声)いつかネタにするかもしれないけど・・。

のりこ:え?

愛理: なんでもない。幸せになるのよ。

のりこ:はい。

SCENE 8 成田空港DEPARTUREロビー

リチャードとのりこは荷物を持って愛理に最後の挨拶をする。

愛理:  お幸せに!

のりこ:  愛理ちゃんもね!

リチャード:YOU! TRANSLATER! GREAT! THANK YOU

愛理:  SEE YOU SOON

のりこ:  じゃあ。

愛理は二人と別れる。

愛理:外国かあ。・・・ん~。あたしは日本でいこう。 ああ~、和風の曲書きたくなってきた。来年復帰しよう。 でタイトルは英語でENDLESS MOMENT。 ふふん。

END。

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