創作:あたしを殺そうとしたくせに

2019年作

創作:あたしを殺そうとしたくせに

平松愛理

作BON

タクシーの中、

誠はドライバー席をリクライニングして、スマホで、アイドルの生配信をしているのを見ている。

誠:おっ、あれ食べるんか。頑張れ、めぐちゃん。課金メッセージ おくってやろう。よし。

誠はスマホをいじる。

誠:頑張れめぐちゃん

タクシーにひとが近づく

客、このタクシー空いてますか?

誠:あ、あいてます。どうぞ。

誠はタクシーのドアを開ける

客、ひふみ団地までお願いします。

誠:はい、わかりました。

誠は、スマホをしまって、運転する

20分後。

誠:2250円です。ありがとうございます。

客は金払っておりる。

誠:この付近はあまりいかないな。 今日はあまり、仕事する気になれないな。ああ、0時回ってしまった。 もうめぐちゃん放送は終わっちゃったな。今日はもう辞めて帰ろうかな

タクシーを空車から自家用に変える

誠は外にでて、あたりを見回す

誠:一服でもするか、ん?

誠はある民家のところから声が するのをきいた。

魔師光:寒い、開けて、ごめんなさい、もうやらないからあけて。

誠:え?もしかして、暗くて見えないが、女の子?

魔師光:寒い、寒い。開けて

誠:え?もしかして裸?この12月に?

家のドアがあいた。玄関の光で、 周りが見える

男、うるせえ。死んでしまえ!

魔師光:ぎゃ。

男は女の子にバケツの水あびせる。

誠:ひ、ひどい。

ドアは閉じられる。

誠:あのままではあの子は死んでしまう!

誠は走り、濡れた裸の女の子、抱えて運び、タクシーに乗せる。

誠:僕のことは信じなくていい。ただ、このままでは君が死んでしまうから、 ここにのせた。ぶかぶかだけどこのシャツきて!

魔師光は動かず震えている。 誠は自分のかえのシャツを渡す。

誠:今、暖房強くするからね! このタオルで体拭いて!

誠はぶかぶかのシャツをきせる。 魔師光は抵抗はしないが、怯えている

誠はタクシーを走らせる、

誠:僕は工藤誠。35歳、妻と5歳に なる娘がいたが、2年前、交通事故で なくなってしまった。ああ、お腹すいてない? 君は何歳かわからないが 痩せすぎだ。ちゃんと食べさして もらっているか?。。今答えなくて いい、あんぱんだけど食べて。

誠は魔師光に渡す。魔師光は恐る恐る開けると、様子みて、ばくばく 食べる

誠:生き延びてくれ。不憫でならない。これから、僕の自宅にいく。 シャワー浴びて、今日はうちで寝て

誠の居間

誠:娘の服、捨てられなかったけど 着させてもいいよね、めぐみ。 さ、僕は居間のソファーがあるから 君は奥のベッドで寝て。 僕は無理はいわない。朝になって 帰りたくなったらいって。自宅付近までタクシーだす。 外は寒いから、 かえりたくなったらいって。

朝、

誠:おはよう。よく寝れた?

魔師光:うん。

誠:いますぐお家帰る?

魔師光:かえりたくない

誠:そうか。あ、そうだ。朝食べる

魔師光:お腹すいた

誠:そうか。じゃ食べよう。君は 運がいい。僕はいつもはコンビニ 弁当なんだけど、昨日の夜、カレー 作ったんだ。昨日はちょっと特別な 日でね。二年前の昨日、交通事故で ママとめぐみが死んでしまってね 12月16日は、めぐみが好きだった カレーを作ることにしたんだ。 さあ、暖まった。食べよう。

食べる二人

誠:君、名前は?

魔師光:まひろ。この名前きらい

誠:そうか。君をなんと呼んだらいい?

魔師光:めぐみ

誠:めぐみ。死んでしまっためぐみ を思い出してしまう。め、めぐみで いいのか

魔師光:めぐみがいい

誠:わかった。めぐみ。めぐみは いくつ?

魔師光:5歳

誠:5歳か。めぐみの魂がこの子に きたのかな。僕はめぐみちゃんの 詳しいことは聞かない。しゃべりたくないだろう。 ただ、これからのことは聞かせてくれ。カレー食べたらお家帰るか

魔師光:ここにいたい。

誠:そうか。ここにはずっとはいれない。僕は悪いことをしたんだ。 めぐみちゃんとは他人なのに、さらってしまった。 ずっとここにいたら警察につかまってしまう。

魔師光:わたしを助けて

誠:わかった。それならドライブして一緒に遠いところへいこう。 いっぱい食べな。食べたほうがいい。

タクシーの中

魔師光:どこへいくの?

誠:熱海のサンビーチだよ。ごめん いやかい?

魔師光:ううん。大丈夫

誠:ごめん。僕はやっぱり、亡くなっためぐみと君を重なさってみているようだ。2年前の12月に、家族三人で、熱海の海のライトアップ を見に行ったんだ。いとおしい時間で、家族の最後の思い出。

魔師光:なぜ死んだの?

誠:僕が仕事の時に、妻が娘連れて 高速のっていたら、あおり運転に あってね、追突されて死んでしまったんだ。交通事故ですまされてしまってね

魔師光:あおり?

誠:運転の邪魔するひとさ。あの時自分がいなかったのを今でも後悔している。 僕のことはいい。めぐみちゃんは。。いいや、やめよう。

魔師光:パパはきらい。わたしをいつもたたいてくる。ママもキライ。 わたしと話したことない。あんたが パパならいいのに

誠:そうか、児童相談所。家に誰か 君のことで訪ねにきたかい?

魔師光:訪ねてくるひとはいたけど ママもパパも、相手にしない

誠:そうか。つらいこと思い出させた、すまない。

魔師光:そのなんとかビーチいきたい。

誠:楽しい日にしよう

熱海サンビーチ

ラジオから音声が聞こえる

声、それでは次のニュースです。昨日の深夜、5歳になる、 田中魔師光ちゃんが、何者かに連れ出されると いう事件が起きました。目撃者情報によると、男性が女の子抱えて、 タクシーに乗り込んだとされており 警察は幼女連れ去り事件として、 犯人の行方をおっています。 田中さんの両親から捜索願いがだされていました。 早くみつかって、無事保護されるといいですね。 保護者から、早く私の娘を返してほしいというメッセージが届いてます

魔師光:わたしを殺そうとしたくせに。

誠:着いたよ。見に行こう。

ビーチを眺める二人。

魔師光:すごい綺麗。

誠:綺麗だね。ゆっくり歩いていいよ。痛いだろう?傷が。

魔師光:大丈夫。綺麗、天国みたい

誠:楽園だよ。

魔師光:パパと呼んでいい?

誠:僕はあかの他人だよ

魔師光:パパと呼ぶ

誠:なんか恥ずかしいな

魔師光:パパと私はこれからどうなるの。

誠:僕はめぐみをさらった。悪いことしたから、警察につかまる。

魔師光:パパは悪い人じゃない

誠:周りには信じてもらえないさ。 僕はいい。妻も娘も死んでしまったし、生きてて楽しいことはなにひとつない。最後に、君に出会えたから 思い残すこと。いや、ある。僕はやることがある。このままだと、僕は警察に捕まり、めぐみは、あの家に 帰らなきゃいけない

魔師光:帰りたくない。私、死ぬの?

誠:どうしたらいい。めぐちゃん番組にきくか

魔師光:何?

誠:そうだ!YouTubeがあった

魔師光:何?

誠:今の時代、自分のいいたいことを発信できる時代だ。

魔師光:なに?

誠:ここの散歩終わったら、タクシーで僕は僕の動画とって投稿する めぐみちゃん助ける為の動画を つくるんだ。

魔師光:あたしもでる。

誠:日本中にしれわたるかもしれない。めぐみちゃんがでるのは危険だ

魔師光:あたし、しにたくないから

誠:。、、、わかった。

YouTubeビデオ

誠と魔師光が映っている

誠:幼女誘拐事件の犯人となっている、工藤誠です。 このこは、誘拐されたことになってる、ましろちゃんです。

魔師光:あたしは元気。

誠:僕は二年前に妻と娘を亡くした 。あおり運転されて追突されて、 家族を失った。ただの交通事故として扱われた。 僕の人生は終わったようなものだ。だけど、このこだけは 助けたい

魔師光:あたしは死にたくない

誠:僕はタクシーの運転手だ。たまたま、真夜中、このこを見つけた。 こんな寒い夜の中、裸同然のかっこで、親に水かけられていた

魔師光:冷たかった

誠:僕は見てみぬふりはできなかった。あのままではこのこは死んでしまう。 君ならどうした?みてみぬふりか。今の社会はこのこ救えるか? ならば、僕はこのこを誘拐するしかない。僕はまだ、逃走する。このこ の為に。愛を与えるために。

魔師光:あたしはこの人をパパと呼ぶ。あたしは死にたくない。そして 私に水かけたひとへ。あたしを殺そうとしたくせに。

神戸元町中華街

ぶたまんを食べる、誠と魔師光。 警官が近づく

見てる方へ。この二人はどうなって、ほしいですか。

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